ブラウザフィンガープリントは、OS、解像度、フォント、Canvas、WebGLなどの情報を組み合わせて生成されるため、完全な匿名化は困難です。本記事では主要な10個の検出ツールを紹介し、フィンガープリントの固有性や情報漏えいの確認方法、検出後の対策を解説します。
ブラウザフィンガープリントとは、WebサイトがOS、画面解像度、フォント、プラグイン、Canvas、WebGLなどの情報を組み合わせて作る「デバイスの特徴情報」です。Cookieを使わなくても識別に利用でき、一般的なプライベートブラウジングだけでは防げないことがあります。自分がどの程度の情報を外部に見せているのか確認したい場合は、まずフィンガープリント検出ツールで現状を把握すると分かりやすいでしょう。ここでは、よく使われる10個のツールを用途別に紹介します。
ブラウザフィンガープリントを検査する理由
フィンガープリントは、OS、ブラウザのバージョン、画面解像度、タイムゾーンと言語、フォント一覧、Canvas、WebGL、AudioContext、WebRTCなど、数十種類の情報から構成されます。1つ1つは目立たない情報でも、組み合わせると識別性が高くなることがあります。Webサイトや広告事業者はこれらを利用し、Cookieを削除したりシークレットモードを使ったりしていても、サイトをまたいでユーザーを追跡できる場合があります。
一般ユーザーにとって検査の目的は、「自分のフィンガープリントがどれくらい固有なのか」「情報漏えいがあるのか」を知ることです。複数の業務アカウントを管理する運用担当者にとっては、各作業環境のパラメータが安定して一貫しているかを確認し、環境特性の不整合によるログイン異常を避けるためにも役立ちます。

総合的なフィンガープリント検査サイト
- BrowserScan:ブラウザフィンガープリントを素早く分析できるオンラインツールです。プラグイン、フォント、解像度などを確認できるほか、WebRTCによって実際のIPアドレスが漏れていないかも検査できます。
- Panopticlick:Electronic Frontier Foundation(EFF)が提供するツールで、ブラウザがどの程度一意に識別されやすいか、またトラッカーへの耐性がどれくらいあるかをテストします。
- AmIUnique:デバイス特性の固有性を分析し、世界中のユーザーデータと比較することで、自分のデバイスがどの程度見分けられやすいかを確認できます。
- BrowserLeaks:IP漏えい、WebRTC、JavaScript、Canvasなどを対象とした個別テストを多数提供しており、項目ごとに確認しやすいのが特徴です。
開発者・不正対策向け
- FingerprintJS:オープンソースのフィンガープリントライブラリです。開発者がWebサイトに組み込み、訪問者の識別、不正対策、大量登録の検知などに利用できます。
- IPQualityScore:IPレピュテーション、メール検証、デバイスフィンガープリント検出などを提供する総合的な不正対策サービスで、Webサイトが不正なトラフィックを見分けるのに役立ちます。
ブラウザ拡張機能
- CanvasBlocker:WebサイトがHTML5 Canvas経由で情報を収集するのをブロックし、Canvasフィンガープリントによる追跡の可能性を下げます。
- Privacy Badger:こちらもEFFが提供しています。ユーザーを追跡するサードパーティドメインを自動的に判別してブロックする、動的なアンチトラッキング方式の拡張機能です。
専門的な検査
- AudioContext Fingerprint Test Page:Web Audio APIによって、デバイス識別に使われる可能性のあるオーディオフィンガープリントを生成できるかどうかを専門的にテストします。
- WhoTracks.Me:トラッカーのデータベース兼分析ツールで、どの追跡企業がどのような方法でデータを収集しているかを確認できます。
検査後に行うべき本当の対策
明確にしておきたいのは、検出ツールは「問題を見つける」ためのもので、それ自体が追跡を止めるわけではないという点です。フィンガープリントの固有性が高い、あるいはWebRTCから実際のIPアドレスが漏れていると分かった場合は、WebRTCを無効化・制限する、公開されるプラグイン情報を減らす、信頼できるプライバシー設定を利用するなどの対策が必要です。
異なるプラットフォームで複数の業務アカウントを管理するチームにとっては、単に「隠す」ことよりも「分離して安定させる」ことが重要です。各アカウントを独立したブラウザ環境で動かし、OS、UA、タイムゾーン、言語、WebGL、WebRTCなどの環境パラメータを一貫させ、実在するデバイスに近い状態を保ち、環境同士が干渉しないようにします。PurpleMarkでは、業務ごとに複数の独立環境を作成してこれらのパラメータを個別に設定でき、作成前に環境情報をプレビューすることもできます。フィンガープリント検査ページと組み合わせれば、ある環境が外部にどのような特徴を見せているのか、異常な漏えいがないかをいつでも抜き取り確認できます。これにより、「フィンガープリントを試しに測る」行為を日常的な点検へ変えられます。なお、個人のSNSアカウントは、1人1アカウントなど各プラットフォームのルールに従う必要があります。環境分離は、運用権限のあるアカウントを適切に管理するためのものであり、プラットフォームのルールを回避して不正に複数アカウントを運用するための手段ではありません。
よくある質問
フィンガープリント検出ツールを使えば完全に匿名になれますか? いいえ。検査で分かるのは、どの程度識別されやすいかという点です。実際の匿名性には、プライバシー設定、ネットワーク層の保護、利用習慣も関係します。また、Webサイトによって取得できる情報の組み合わせも異なります。
検査でWebRTCからIPが漏れていると表示されました。問題ですか? プライバシーを重視する場合は問題になります。ブラウザ設定または環境パラメータでWebRTCを無効化・制限し、その後もう一度検査して確認できます。
フィンガープリントブラウザと検出ツールはどのような関係ですか? 検出ツールは「健康診断」、フィンガープリントブラウザは「独立して安定した環境を作る」ためのものです。まず検査で露出状況を把握し、その後に環境管理で変数をコントロールする方が、より包括的な方法です。


