MACアドレスもIPアドレスのようにプライバシーを漏らすのではないかと心配する人は少なくありません。本記事では、MACアドレスの意味、IPとの違い、通常のWeb閲覧でサイトに取得されるのか、そして本当に注意すべきプライバシーリスクをわかりやすく解説します。
オンラインのプライバシーを考えるとき、「自分の端末が追跡されるのでは」と不安になる人は少なくありません。MACアドレスも、その文脈でよく出てくる言葉の一つです。そもそも何なのか、IPアドレスとどう違うのか、普通にWebを閲覧するだけで漏れることはあるのか。この記事で整理して説明します。
MACアドレスとは
MACアドレスは、Media Access Control Addressの略で、端末のネットワークインターフェースに割り当てられる固有の識別子です。主にLANなど、物理的なネットワークセグメント内での通信に使われます。
簡単に言えば、ネットワーク上における端末の「身分証番号」のようなものです。ノートPC、スマートフォン、家庭用ルーターなど、ネットワークに接続する機器にはMACアドレスがあります。通常はメーカーが製造時に割り当て、00:1A:2B:3C:4D:5E のように6組の16進数で表されます。前半は一般にメーカーを示し、後半はその機器固有の番号として使われます。
MACアドレスとIPアドレスの違い
どちらもネットワーク上で機器を識別するために使われますが、役割は大きく異なります。次のように考えると覚えやすいでしょう。
- MACアドレスは身分証番号のようなもの:通常は製造時に設定され、日常利用ではあまり変わらず、ローカルネットワーク内で端末を識別するために使われます。
- IPアドレスは住所のようなもの:データの送り先を示し、接続するネットワークによって変わります。自宅のWi-FiとカフェのWi-Fiでは、IPが変わることがあります。
つまり、MACは端末の比較的固定された「アイデンティティ」に近く、IPは変化する「場所」に近いものです。両者は別の問題を解決しています。

普通にWebを見ているだけでサイトにMACアドレスを取得される?
多くの場合、取得されません。MACアドレスはローカルネットワーク内で使うことを前提としており、インターネットを越えて閲覧先のWebサイトまで送られる情報ではありません。Webページを開いても、サイトが端末のMACアドレスを直接読み取ることはできません。セキュリティとプライバシーの観点から、ブラウザーはこのようなローカルのハードウェア情報をWebサイトに提供しません。
ただし、MACアドレスが絶対に見られないという意味ではありません。次のような場面では注意が必要です。
- 公共Wi-Fi:公共Wi-Fiに接続すると、ネットワーク管理者は接続端末のMACアドレスを確認できます。ネットワークの保護が不十分な場合、sniffingツールで取得される可能性もあります。
- ローカルネットワークでのsniffing:同じLAN内の端末はネットワークフレーム中のMAC情報を確認できるため、悪意のある通信傍受によって収集されることがあります。
- 物理的なアクセス:ロックされていない端末を他人が操作できれば、MACアドレスを直接確認できます。
- マルウェア:端末が侵害された場合、攻撃者がMACアドレスなどのシステム情報を取得できる可能性があります。
まとめると、日常的なWebブラウジングでは、MACアドレスは最も心配すべきプライバシー漏えいポイントではありません。むしろ、Web上で直接収集される次のような情報のほうが重要です。
Web閲覧時に本当に注意したいプライバシーリスク
MACアドレスよりも、Web閲覧中には次の情報のほうが収集されやすい傾向があります。
- IPアドレス:Webサイトや広告事業者が、おおよその地域やインターネットサービスプロバイダーを推測する手がかりとなり、行動追跡にもよく使われます。
- ブラウザーフィンガープリント:ブラウザーのバージョン、OS、プラグイン、解像度、フォント、言語などを組み合わせることで、かなり精度の高い端末識別情報になることがあります。Cookieとは異なり、プライベートブラウジングでもサイトが識別に利用できる場合があります。
- Cookiesと第三者トラッキング:Webサイトは閲覧行動を記録するためにCookiesを使い、第三者Cookiesはサイトをまたいだ追跡にも利用されてきました。
- HTTP Referrerヘッダー:別のWebページへ移動する際、直前に見ていたページが参照元として送信されることがあります。
- 広告識別子:ターゲティング広告のため、Webサイトやアプリをまたいで行動を追跡する目的で使われることがあります。
こうした情報が組み合わさると、オンライン行動の詳細なプロフィールが作られる可能性があり、Cookiesを削除するだけでは防げない場合があります。
複数アカウント運用ではブラウザー環境をどう管理する?
複数のSNS、ショップ、業務アカウントを同時に管理する場合、重要なのは「MACを隠すこと」よりも、「異なるアカウントのブラウザーセッションを混在させないこと」です。同じ端末で複数アカウントに繰り返しログインすると、ブラウザーフィンガープリント、ログイン状態、IPなどのシグナルが同じ環境に重なり、プラットフォームがアカウント間の不自然な関連を判断する際の材料になる場合があります。
このような重複を減らすには、各アカウントを独立した、設定が安定したブラウザー環境で運用するのが基本です。PurpleMarkはこうしたワークフローに対応しており、アカウントごとに独立したブラウザー環境を作成し、User-Agent、解像度、言語、タイムゾーン、proxyなどのパラメーターを個別に設定できます。各業務アカウントの作業スペースを分けやすくなり、アカウントのグループ分けやメンバー権限を使えば、チーム運用や複数店舗運用でも担当範囲を整理できます。
注意:ブラウザー環境の分離は、自分が正当に管理するルール準拠の複数アカウントを整理し、データを分けて管理するためのものです。プラットフォームの規則を回避したり、不正な一括操作を行ったりする目的のものではありません。複数アカウントを運用する場合は、必ず各プラットフォームのポリシーを守ってください。
まとめ
MACアドレスは、ローカルネットワーク内における端末の「ID」のようなものです。通常のブラウザー利用でWebサイトが直接取得することは基本的に難しいため、過度に不安になる必要はありません。むしろ、Web上で収集され得るIPアドレス、ブラウザーフィンガープリント、Cookiesのほうが重要です。複数アカウントを運用するなら、特定の低レイヤーのパラメーターだけを気にするより、アカウントごとにブラウザー環境を分離して管理するほうが実用的です。


